
朝早く、自転車で大学通りを駆け抜けて。谷保にある「やぼろじ」へ。広々としたお庭のある古民家を再生し、昔ながらの佇まいを大切に受け継いでいきながら、カフェや、工房、蔵を生かしたギャラリー、オフィス、シェアハウスなどを運営している、個性あり、とっても魅力的な場所。
明日、こちらでのウェディングパーティーのお料理を作らせていただく、ということでキッチン事情、器事情、テーブルセッティングなどの打ち合わせに。こちらへは何度となく足を運んでいるので、遠目からのキッチンは拝見済みなのだが、中へ入らせていただくのは初めて。以前の住まいをそのまま生かし、有効的にリノベーションされていて。みなさん、ランチの仕込み、それから夜の宴会の仕込み、真っ盛りのキッチンにて、あれこれ下見させていただき。と、その、キッチンの活気といい、スタッフの方々のおしゃべりといい、食材の感じといい、ふっと、以前働いていた、荻窪のオーガニックレストランでのキッチンの想い出とあまりに重なり。今日特に拝見したかったのは、オーブン。以前働いていたお店では使ったことのある直火式。明日、突然うまく使いこなせるかしら、そんな不安もありつつも、明日に向けて、ほどよく気合が入り。
魚類などの買い出しを済ませ、帰宅し、さあ、仕込み。まずはシュー生地から。昨日のホワイトソースにしても、今日のシュー生地にしても、生地を炊き、練るときに。火にかけた熱々のベースの生地に、昨日は冷たい牛乳、今日は冷たい卵液を加え、混ぜ合わせる。混ぜ立ては温度の違う両者、一向に混ざる気配薄く、はっきりと分離、が、そんな気配もなんのその、ゆったりと混ぜているうちに、なんとなく2つの温度が近づいてきて、混ざり合いそうな気配。ここでは初めて、よおし、と一気に混ぜれば、ほどなくなんともきめ細やかな統一感。一気に、ではなく、なるべく両者に負担なく進むように、数回に分けて。焦らず、急がず、ここぞ、というところで力と気持ちを入れて。こういう作業は、どこか教訓めいていて、道徳めいていて。
今日は仕込みの合間に、みんなで近くの自転車屋さんへ。4月への駆け込み、新しいチャイルドシートをつけてもらいに。シートを付けてもらっている合間に、久しぶりの「ロージナ茶房」でお昼ごはんを食べ、帰り道、新しいシートになぜかサイズアウトの真ん中ゆふきを乗せて、少し練習など。束の間の気分転換がついつい、だいぶのタイムオーバー。
いつものように早々と完売しているベーカリー「ハース」へ。明日の料理に合わせて、サイズや生地などをありがたくもオーダーさせていただき、パングラタン用のパンをパンを焼いていただき。家に帰って、さっそく中をくりぬく作業が続く。もちろん、中のもっちもち、おいしい生地は自家消費用に。パングラタン、中学生だった頃、英語の塾の先生が、なにかのお祝いに、山の奥も奥にある小さなすてきなレストランに私たち生徒を招待してくださって。その時に初めて食べたパングラタンに感動した記憶。その空間の雰囲気はもちろん、こんなすてきな食べ物があるんだあ、そんな憧れのような気持ち。パンをくりぬきながらふとそんな想い出が蘇り。
パンに詰めるのは。今回は春野菜、くにたち産芽キャベツをはじめ、新じゃがいも、新玉ねぎ、スナックえんどうなど。それからベーコンを少々。いつもそうなのだが、季節の食材を並べると、おもしろいくらいにその季節の感じがぐっと出る。春は鮮やかなグリーンがアクセント、全体に優しい色合い。明日、これらの野菜をホワイトソースと合わせ、パンに詰め、初めまして、のやぼろしオーブンで焼く予定。どうかオーブンのご機嫌をうまくとることができますように。
お子様分も合わせると、約35人分のお料理。この段階でも、その容量がいまいち見えていない不安がありつつも、仕込みもひとまずは一山超えたかな、と少し心落ち着いたところ。常に何か忘れていることがありそうな、そんな思いが付きまといつつ。
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